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受験国語の目安箱

受験国語の目安箱

中3国語定期試験対策『近代の俳句』

中3 国語
『近代の俳句』 整理問題
「教育出版」中3国語教科書を参照して次の問いに答えなさい。

Aゆさゆさと大枝ゆるる桜かな
B赤い椿白い椿と落ちにけり
C映りたるつつじに緋鯉現われし

D山清水ささやくままに聞き入りぬ
E諸手さし入れ泉にうなづき水握る
F噴水のしぶけり四方に風の街

G啄木鳥や落ち葉を急ぐ牧の木々
H燕早帰りて山河音もなし
I小鳥来て何やら楽しいもの忘れ

Jいくたびも雪の深さを尋ねけり
K風雪にたわむアンテナの声を聴く
L靴紐を結ぶ間も来る雪つぶて

M夕立やお地蔵さんもわたしもずぶぬれ
Nこんなよい月を一人で見て寝る

《設問》
1 俳句の定型は五七五であるが、B・Eのような定型のくずれを何というか。
2 また、M・Nのような定型を無視し季語も特に定めない俳句を何というか。
3 C・Gの俳句は「季重ね」の句であるが、季語は何か。
4 Hの季語を書け。(言い切りの形にするのが適切) 
5 A・B・G・Mの「切れ字」を書き抜け。
6 A・B・G・Mの句切れを答えよ。
7 Fの句切れを答えよ。
8 J・M・Nの作者名を漢字で書け。
9 D・G・Kに共通して用いられている表現技法を答えよ。
10 F・G・L(I・M)に共通して用いられている表現技法を答えよ。
11 Cのつつじはどこに写っているのか。
12 Eの作者は誰の面影にうなづいたのか。またその人物の著作を一つ挙げよ。
13 「四方」の読みと意味を答えよ。
14 Lの句は何をしている情景を描いたものか。
15 Aの句から擬態語を書き抜け。
16 季節ごとの風物や季語をまとめた本を何というか。漢字で書け。

【解答例と解説】

1字余り(破調)
 字余りと字足らずを破調という。定型を意識して作られたが字数が合わないのが破調。定型を全く意識していないのが自由律俳句。だから、自由律俳句を破調(字余り・字足らず)とは言わない。

2自由律俳句(無季自由律)
 自由律俳句は字数(音数)が自由であるというだけでなく、季語もあえて
入れない。季節感を感じさせる言葉があっても季語として指摘するのは誤り。

3Cつつじ G啄木鳥(きつつき)
 俳句に季語と受け取れそうな言葉が重なって使われているとき、「季重ね・季重なり」という。どちらをその句の季語とするかは、切れ字がつく方を感動の中心とするか、もしくは、句意からとらえるしかない。この設問の場合、Cつつじ(春)緋鯉(夏)/G啄木鳥(秋)落ち葉(冬)となっているが、教科書の配列が春夏秋冬の順になっていることも考え合わせて、Cはつつじ G啄木鳥とする。なお、「啄」という字はワープロでは点がついてないが、答案には旧字につく点をつけ忘れないこと。「季重ね」を教えてくれない学校も相当数あるので、学校の先生の説明を良く聞いておこう。

4燕帰る(言い切りの形にするのが適切) 
 「燕早帰りて」は×。残念ながら季語の指摘は学校の先生の指導がまちま
ちで、抜き出して正解とする学校もあれば、きちんと言い切りにしたものを正解とする学校もある。「燕」だけでは春の季語。「燕帰る」で秋の季語。燕は渡り鳥でしたね。

5Aかな Bけり Gや Mや
 俳句に使われる切れ字の代表は「や・かな・けり」の三つ。句切れは感動の中心を表す働きと句切れを作って句のリズムを生み出す働きがある。切れ字をあえて訳せば、「~ダナァ」という感動を表す。

6A句切れなし B句切れなし G初句切れ M初句切れ
 「や・かな・けり」などの切れ字の直後で句切れが起きる。途中に句切れのないものを「句切れなし」という。

7F中間切れ
 二句目の途中で句切れがあるので中間切れという。中間切れの句は高校入試でも次の句が使われることがある。
万緑の中や/吾子の歯生え初むる  中村草田男
ばんりょくの なかや/あこのは はえそむる
  季語 万緑 (夏) 中間切れ

8J正岡子規 M種田山頭火 N尾崎放哉
 正岡子規は夏目漱石の友人でもあり、肺結核の病床にありながら創作活動を続けた。彼は江戸時代から俳諧と呼ばれた五七五の文芸形式を「俳句」と名づけた名づけ親である。著書に『寒山落木』『歌詠みに与ふる書』があるので覚えておこう。
種田山頭火は放浪の俳人。尾崎放哉とともに自由律俳句を作った代表として記憶しよう。

9D・G・K(共通) 擬人法
10F・G・L(I・M)(共通)体言止め

Iものわすれ・Mずぶぬれ を学校で体言止めと習わなかった場合はF・G・Lを正解とする。これも学校の先生の指導によってズレがある問題。

11(池の)水面
 つつじが水面に映っているところへ水中に緋鯉が現われた、その鮮やかな色彩の重なりを感じて欲しい。

12松尾芭蕉 奥の細道など。
 Eの俳句はかなり補足説明が必要である。江戸時代に、松尾芭蕉が『奥の細道』の旅を終え、琵琶湖のほとりの「幻住庵(げんじゅうあん)」という小さな庵(いおり)にしばらく住んだことがあった。その庵の近くには泉が湧いていて、芭蕉が使った泉は今でも残っているそうだ。その場所を訪れた作者の中村草田男が、俳句の大先輩である芭蕉の面影が、その泉に映っているように思われて思わず両手を泉の水に差し入れたというお話。

13読み(よも)意味(あちこち・いろいろな方向)

14雪合戦

15ゆさゆさと  
 擬態語は様子を表す言葉。擬声語・擬音語が音や鳴き声を表す言葉。
16歳時記(さいじき)

【補足】
 Kのアンテナは一般家庭のテレビアンテナのことではない。九州の阿蘇山山頂にある火山観測所のアンテナだとされる。そこに激しい風雪が吹きつけた情景でなのである。そのほか、俳句の作者名にふり仮名をつけさせる問題(例)河東碧梧桐「かわひがしへきごとう」であるとか、自分で好きな句を選んで情景を説明し鑑賞文を書けという問題も良く出るのでよく復習しておこう。


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